テーマ小説
街の喫茶店で時間を潰していた。彼女から待ち合わせに遅刻する旨の連絡が入っていたからだ。交差点に面した二階の窓際だったので、外の景色がよく見えた。秋口の日暮れどきで、辺りは灰色がかって見えた。加えて、先ほどから雨粒が窓ガラスを叩きはじめてい…
「終わっていくんですねえ」 老婆はぽつりと呟いた。 「はい。終わっていきます」 数分ののち老婆は一瞬で分解され、装置の上は無人となった。老婆は終わってしまったのだけれど、少し経ったあと装置の裏からハツカネズミが姿を現した。プラスチック製ビーズ…